京都・金沢旅行記 京都篇⑤

さてさて、きれいなお料理の写真をUPしたところで またお寺めぐりです。

京都2日目は哲学の道沿いに東山地区を南下して、地下鉄で七条駅まで移動。
ここは「風神・雷神図」の本物を所蔵する京都国立博物館にも近く、宗達好きな私としては京博も観たかったのだけど、残念ながらこちらも休館中。歩いて5分ほどの三十三間堂裏の養源院へ向かいます。

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養源院の立札。
そう・・・ここは、関が原合戦の前哨戦ともいえる伏見城攻防の際に、切腹して果てた徳川方の武将たちの血が染み付いた床板を、天井に用いて供養しているお寺でもあるのです。
宗達筆杉戸」の3倍はあろうかというフォント数で大書しています。
しかも門に入ったとたん、カラスが「カァ~」・・・抜群のタイミングでお出迎え~(^◇^;)

本堂の中も照明一つついてなくて、薄暗がりから受付の女性が現れて案内してくれます。
このお寺は数人ごとのグループにまとめて、お寺の方の説明とカセットテープ(?)で解説をしてくれるのですが、つまり自由には観られないということですね。
入ってすぐに宗達の白象が目に飛び込んできます。大琳派展以来の再会。おひさしぶり~。

・・・が、実はこの象さんの真上に血天井が~~~~。
(ホラーが苦手な方は、ここから先ご遠慮くださいませ)

解説によると、伏見城落城後(夏場だったそうです)、かなりの長期間にわたって遺体をそのままにしていたために、血や脂が染み付いた床板は洗っても削っても跡が落ちなかったのだとか。
正直、ここに来るまではコケおどしくらいに思っていた私ですが、人が倒れたままの姿の染み、手をついてズルッと引きずったような跡や足あとが無数に残っているのを目のあたりにして絶句。頃あいを見はからって(?)、ご年配の女性が竹ざおを出してきて、
「これが総大将・鳥居元忠切腹された跡でございます。・・・ここが頭、片足を伸ばしてもう片方は膝を曲げてお座りになっています・・・ここが腕で刀を持って切腹されています」
と、いちいち指してくれた時には、観光客一同、口をポカンと開けて見上げるのみ・・・。

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とにかく衝撃度No.1の血天井ですが、ここばかり観ていると宗達の杉戸絵が観られません。
これらの杉戸絵は、武将たちの菩提を弔うために描かれたものだそうです。
杉戸の粗い質感に負けない強い線描、霊獣たちが今にも動き出しそうな大胆な構図とタッチ。
動物園なんかない時代、想像だけで白象や緑の麒麟(←ただし霊獣)や金銀獅子を、実に自由闊達に生き生きと、刷毛で描いているのです。
金泥の体に緑青のタテガミをなびかせ跳躍する金獅子。金獅子に向って垂直に跳ぶ銀獅子。
見上げれば生々しい血天井、前には象さん麒麟さんライオンさん。このギャップがたまりません!
ボコボコした枝をリズミカルにくねらせた松の金襖もいいけど、なんといっても杉戸絵の霊獣たちが見ごたえあります。不気味ですが、一見の価値あるお寺です。


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とはいえ、養源院を最後に京都を出るのも気が進まず、お隣の三十三間堂へ行って、一千一体の仏陀を拝んで参りました。
後白河法皇平清盛に命じて建立させたあと焼失し、江戸期に再建されましたが、当時の寺社建築では最新の耐震構造なのだそうです。本堂の周りをぐるぐる歩いてみるだけでも、そのスケールの大きさに圧倒されます。
本堂の阿弥陀如来もお堂の端に立って見渡せば、その膨大な数はまさに「仏陀の海」ともいうべきで、前日の知恩院の御身拭式と同質の迫力を感じさせます。よく観ると一体として同じ顔はなく、耳や目元の表情なんか微妙に違っています。毎年、順次修復を行っているため一千一体全員集合というわけにはいかないようですが、この修復のペースというのが、一年間に15体だそう。一巡するのに何年かかるか計算してみてください!

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(おまけ)杉本博司の「仏の海」。

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かくして二日間の京都めぐりを無事終えて、鴨川を渡って京都駅構内の伊勢丹でお買い物。
実家に漬物送って、ミスドでドーナツ買って、17時9分発和倉温泉行きのサンダーバードに乗り込み一路金沢へ向かう やまねこでした~。