阿佐ヶ谷住宅に行ってきました(1)

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阿佐ヶ谷住宅が ついにこの夏には取り壊されるらしい、という情報を聞いて、
阿佐ヶ谷まで行ってきました。
杉並区役所から閑静な住宅街を歩くこと約3分、ランドマーク的存在の水道塔がお出迎え。

阿佐ヶ谷住宅とは、杉並区成田東にある全戸数350世帯の日本住宅公団の分譲型集合住宅。
地上3~4階建て鉄筋コンクリート造の118戸と、地上2階建てテラスハウスタイプ232戸(陸屋根タイプと傾斜屋根タイプが混在)で構成され、うち傾斜屋根型テラスハウスの174戸は前川國男建築設計事務所の設計によるもの。
当時発足したばかりの日本住宅公団設計課が「個人のものでもない、かといってパブリックな場所でもない、得体の知れない緑地のようなもの(=コモン)を、市民たちがどのようなかたちで団地の中に共有することになるのか」というテーマによって設計した、昭和の集合型文化住宅です。

築51年になる阿佐ヶ谷住宅は数年前から再開発計画が進んでおり、2010年以降、6階建ての高層住宅を含む住宅街に生まれ変わる予定、だそうです。

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傾斜屋根タイプのテラスハウス。このタイプの住宅に2世帯が入居しています。
阿佐ヶ谷住宅は入居者の所有によるもの、つまり私有地にあたるため、私道への立入りはできません。なので、入口からそーっと撮影。

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さっきのテラスハウスとは別の棟ですが、同一タイプです。ベランダ側から撮影。
すでに住人が立ち退き、扉・窓の開口部に板が打ち付けてあります。
かつて庭にテーブルを出して日向ぼっこや夕涼みを楽しんだ日もあったのでしょうか。
阿佐ヶ谷住宅では現在7割以上の住人が立ち退き、不法侵入や不審者など治安の悪化が問題になっている旨の看板がいくつも立っています。実際、ホームレスらしい男性の姿を見かけたので、そういう意味でもこの撮影にはかなり神経を使いました。

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新宿から地下鉄で10分足らずとは思えない、豊かな緑、極度に建ぺい率の低い住宅街。
地方都市でもこれだけの贅沢な住宅設計は もはや望めないのでは。
数年前、毎週のように阿佐ヶ谷に通っていた時期に偶然ここを見つけたのですが、
まさに都会のエアスポットというか、時が止まったような かくれ里的な空間です。

(「2」へ続きます)