オーボエの思い出


 レクチャーコンサートの出演者・三宮正満さんの動画を見つけたので掲載します。(アンサンブルの出演者も一部同じメンバーのようです)
 アップで見ると、オーボエのキー(銀色の部分)が1つしかなくて、リコーダーのように指で直接孔をおさえる造りになっているのがわかります。現代のオーボエはキーが沢山ついていて、1つおさえると同時に複数の孔を開閉できる複雑な(便利な)システムになっています。この進化(?)はフルートのキーシステムと似ています。木管自体の厚さもおそらく現代のものとは違うんでしょうね。
 家でモダンオーボエのCDも聴いた後で改めて聴いてみると、バロックオーボエの方が音自体がストレートに感じます。
ニュアンスの幅もやや狭い感じ。フォルテピアノのような制約がバロックオーボエにもあるのでしょうね。私にはその制約こそが魅力につながると思っていたけど、先日のコンサートで、フォルテピアノの平井さんが(モーツァルトを指して)「楽器に限界があるからこそ、その限界を越えようとしていたのでは」という言葉に腑に落ちるものがありました。

 元フルート吹き(今は吹いてません)からみると、オーボエは音域もかなり重なるし音もよく調和するので、オーボエの音は好きです。(ただし演奏者による好き嫌いは分かれる)
 以前の住まいの近所にオーボエ吹きが住んでいるアパートがあって、夜の住宅街を歩いているとバッハが聴こえてくるんです。ちょうど今ごろの初冬の夜、きーんと冷えきった夜の空気にオーボエの鼻にかかったようなあたたかい音に、仕事の疲れも寒さも忘れてしばし佇んで聴き入っていたのを思い出します…。同じバッハでもフルートなら凛とした感じになるのを、オーボエは甘く華やかになるのだと初めて知った。
 おそらくアマチュアの笛吹きだったのだろうけど、生オーボエを聴くのが楽しみでそのアパートの道を通って通勤していたのに、いつのまにかそのオーボエ吹きは引っ越してしまってがっかりしたなあ。。
 フルートに限らず、木管楽器をおさらいしている家の前を通ると、なんだか懐かしい仲間に会えた気がして嬉しくなるんですよね。あのときの顔も知らないオーボエ吹きさんもどこかで元気に暮らしているといいなあ。