1月五雲会

五雲会に行ってきました。

☆1月五雲会
http://www.hosho.or.jp/nou/2008_01/goun.html
能「志賀」  シテ:野月 聡
狂言「舎弟」 シテ:三宅 右矩
能「箙」   シテ:金森 良充
能「東北」  シテ:水上 優
狂言「不腹立」シテ:高澤 祐介
能「車僧」  シテ:藪 克徳


能4曲のうち、「志賀」(桜)、「箙」(梅)、「東北」(梅)と
新春の若手能にふさわしく、春の花をモチーフにしたプログラムでした。
こういう季節感を大切にするセンスって好きだなあ。
私もつられて、帰りに白水仙(小ぶりで香りが爽やかなの)買って
和風にアレンジして部屋に飾りました。

能4曲狂言2曲、のべ6時間もの上演時間は私には未体験ゾーンでしたが、
それほど長くは感じませんでした。
あ、でも「東北」の後半はかなりあやしかったです。白目剥いてたかも(^^;)
「車僧」はシテと間狂言が面白かったので、ペース取り戻しました。

この日は「志賀」「箙」が印象的でした。

「志賀」は、先日金沢で観た「草紙洗」同様、大伴黒主を取り上げた曲ですが、
「草紙洗」ではサイテー男・黒主が、ここでは神格化されています。
ちなみに、常磐津節「関の扉」では黒主は天下横領を狙う悪役ですし、
古今和歌集の仮名序にいたっては
大伴黒主はそのさまいやし。いはば薪を負へる山人の花の陰にやすめるが如し」
と、バッサリ評されています。
この評価の違いは、一体どこから来るんだろう??

今回の五雲会では、この「志賀」が一番よかったです。
演者のほとんどが若手で、きりりとしていながら熱気が伝わってくるいい舞台でした。
夜神楽の場面、シテ、お囃子、地謡が一体となって盛り上がり、
書割も大道具もない能舞台に、満開の夜桜のイメージが自然に浮かんでくるようでした。
シテの野月聡さん、若々しく颯爽とした神様でした。
お囃子も、お調べからずっと楽しめました(お調べ好きとしては嬉しい)♪
原岡一之さん(大鼓)&住駒俊介さん(小鼓)、対照的なタイプながらナイスコンビ。
大鼓は、やっぱりパワーとスピードがなくちゃ!
住駒さんの鼓、二週間前に金沢で聴いたばかりでしたが
今回の方が、鼓の音がしっとりと澄んで美しかった。もちろんお声も。
正直、「草紙洗」では他の囃子方には決して満足できなかったので、
あぁもったいない~と思って聴いていましたが、相方が替われば・・・。
今回は、この方の持ち味がよく出ていたのでは、と思います。

「箙」(えびら)は、矢を入れて背に負う武具だそうです。
源平の合戦で、梶原景委が箙に梅の一枝を挿して笠印にした故事にちなむ曲。
修羅能を観るのは初めてでしたが、こういう凛々しい舞台は私の好みかも。
今度から修羅能チェックしようっと。
シテの金森良充さんは、やや線が細い感じがしましたが、
死を覚悟して合戦に臨む若武者の緊迫感をうまく出せていたと思います。
前シテのモノトーンの装束も、モダンで品があって曲の雰囲気に合っていたし。
お囃子もきびきびして(特に大鼓の柿原光博さん)、気分よかったです。

・・・と、こんな調子で書いていくときりがないのですが、
長時間とはいえ全曲観ることで、プログラムのテーマや構成が把握できるし
気になる能楽師を新規発見できたりして、結構楽しめました。
クラシックのコンサートでは、平均的な所要時間は2時間。
2時間半もかかれば「今日は長かったねぇ~疲れた~」と言い合ったりするので、
半日がかりの能には、最初はかなり引きました(笑)。やっぱり慣れかなあ。
それでも、着物で全て観能しちゃうオバサマ方にはかないません!
一番パワー(とお金と時間)を持っておられる方々なのかも。