5月五雲会


朝イチで病院に行き、そのまま水道橋に直行。
能楽堂の中は意外に空気が乾燥しているので、ノド飴・目薬は必須アイテムです。
以前、飴の包み紙のことを書いた手前、音を立てない配慮は万全さっ(^_^;)

先月、喜多流で観た「八島」「源氏供養」が
この五雲会でも重なるという、なんとも珍しい偶然。

でも、今回は・・・・・・。
体調がイマイチで狂言二曲は中座してしまったし、
思いがけないことがあって、なんだか集中できませんでした。

でも、最後の「大江山」はなかなか楽しめました。
こういう曲が好きというのは、いかにも「ザ・初心者」という感じがしますが。
(↑実際それ以外の何者でもないけど)

勅令で退治される酒天童子は、朝廷への反逆者の比喩かと思っていました。
ちょうどいま読んでいる「西行花伝」でも、
保元の乱で謀反人に仕立て上げられた崇徳院側の公家や武士が
大江山で大勢斬首された、というくだりがあったので。
でもどうやら、鉱山であった大江山を巡る利権争いが背景にあるらしいですね。

前シテの面は、枕慈童の妖艶なそれとは違う、あどけない少年の顔で
プレデター酒天童子にとっては、人間をとって喰うのは生きる営み、
悪意のない食物連鎖にすぎないのだと思えてきます。
頼光をすっかり信用して楽しげに舞う、無垢で美しい生き物。
後場の鬼の姿も、血のように朱い髪と装束は恐ろしいというより哀れな感じでした。
自然のままの、無垢な姿であるがゆえに、他者と共存できない哀しさ。

ワキ方が5人並んで一斉に謡いだす冒頭も、オペラっぽくて面白かったです。
鬼退治のシーンなんかも「ほんとの主役は俺らだぜ!」という感じで、
ワキ方にとっては、おいしい曲かもしれません。
いつも立て膝で シテの身の上話聞かされてばっかりがワキじゃない!ってことかな。