「シャネルの真実」(山口昌子/新潮文庫)

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前回「去年マリエンバートで」の記事でたまたまシャネルの
ドレスにふれたので、こちらも紹介することにしました。

このテのタイトルって、なんかタレント本みたいですが(笑)、
本書はれっきとしたノンフィクション。
著者は産経新聞パリ支局長で、産経の連載記事を
文庫化したものだそうです。

シャネルの名前を知らない人はまずいないと思いますが、
戦後、本人が語った経歴は虚実混交が多いため
その生涯は未だ正確に知られていない部分が多いそうです。
本書は、ジャーナリストである著者の徹底した取材により、
シャネルの知られざる真実― 第一次大戦による事業の成功や第二次大戦中の対独協力疑惑を明らかにし、二十世紀史とも重なり合う彼女の激動の人生を描いています。
シャネルを扱った本としては、秀れた一冊だと思います。

・・・と、マジメに紹介したのは、モードに興味のない男性にも読んでほしいから(笑)
いままでシャネルの生涯、みたいな本というと彼女の「女としての生涯」、
華麗なる男性遍歴とか女性解放・・・といった側面ばかりフォーカスしたものが多いけど
これは一人の女性を軸にした二十世紀史でもあり
実業家としてのシャネル像もしっかり取材されていて、ほんとに面白いのです。
特に、シャネルが第二次大戦中、英独の単独講和を画策したのは
かの「シャネルの五番」の利権奪還のためではないか、という指摘には
いわゆるシャネルのイメージががらっと変わるほど。

もちろん、おしゃれ大好きな女ゴコロをくすぐるエピソードもたっくさん♪
シャネルの考案した服が 女性をコルセットから解放し、
膝丈スカートの実用的で洗練されたファッションを生んだのは有名ですが
それだけではないのですよっ!
マリンルックも、ショルダーバッグも、バックストラップの靴も
シャネルのアイディアによるものとは初めて知りました!
シャネル・スーツは持(っ)てないけど、私もこれなら全部持ってます!(^0^)
「華麗なる男性遍歴」は、シャネルの場合ことごとく事業に結びついているので
正直あまり惹かれないんですけど・・・。なんか疲れそう(^_^;)

この本と並行して、シャネルのHP(日本語サイト)にアクセスしたら
なかなか楽しめました。本文中のツイード素材のスーツが今も出ているし。
まあ、自分で着るということはまずないでしょうけど(^_^;)
見てるだけでも充分癒されます☆