Clair de Lune

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このところコンサートホールからは足が遠のいていますが、
学生時代にフルートを吹いていたくらいで、クラシック音楽(特に室内楽、器楽曲)を
よく聴いています。
声楽に関しては、オペラ歌手独特の「肉食っぽい」歌い方があまり好きになれず
かの三大テノールでさえ「ふーーーん。」という感じで聴き流していました。
じゃあ能の「謡」はどうなのかというと、こちらはなぜか違和感なくOKなんですよね。。。

そんな私の数少ない「例外」が、フランスのバリトン歌手ジェラール・スゼー(1918-2004)。

大好きなフォーレ作品のオムニバスCDに収録されていた「ゆりかご」を聴いて以来、
スゼーのCDやDVDをすこしずつ買い集めています。
バリトン歌手としては やや線が細いような感じも受けますが、
テノールバリトンのいいとこどりのようなまろやかな声質、甘く繊細な歌い方が、たまりません♪
シューベルトシューマンなどのロマン派歌曲もいいけれど、
やわらかい旋律とフランス語の繊細なニュアンスが絶妙なフォーレや、
典雅にして甘美なグルックが好き。
ダルトンボールドウィンのピアノ前奏も美しい「月の光(Clair de Lune)」や、「夢のあとで」を
寝る前に聴いて、癒されておりまする~~。


私は この「月の光」を収録したフォーレ歌曲集のCDを持っているのですが、
歌詞の和訳をたどりながら聴くより、あえて歌詞を見ないで聴いたほうが、
詩情というか、ヴェルレーヌの「ことば」のエッセンスを直に感じられるような・・・。
フランス語なんか全然わからないのに、「なんとなく」伝わるのは、やはり歌手の力でしょうか。
そういえば能も謡本をいちいち見ながら鑑賞するより、あらかじめテクストに目を通して大意をつかんだ上で、無本で聴いたほうが謡を楽しめたりすることもありますね~。
わたしは、たぶん、能も「音楽」として聴いているんでしょうね。
お稽古されてる方々とは、その点でアプローチが全然違うのかもしれません。
たとえ詞章を逐一聴き取れなくても、そういうエッセンスのようなものが伝わってくるような、
演奏家なり能楽師の舞台に出会えたときは、声とことばの泉に浸ることにしています。