北の宿から

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 この夏の旅行で過ごしたお宿の写真。
ちょっと奮発して広めのお部屋(約13畳)を予約したら、期待以上にゆったり過ごせました。写真には写っていない、ソファ(長椅子といったほうがしっくりきそう)に机も置いてあっても、まだ広く感じます。
 自分の家を持てたら、寝室はこんな雰囲気にしたいな。

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 民芸調のインテリアには低めの目線で。イサムノグチのakariで間接照明を効果的に取り入れた、暖かみのある色調が居心地のよさを感じさせます。冬は床暖房。雪深い街を散策して、冷えきった体をここで温めるという過ごし方も悪くないかも…。
 

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 読みものとして置いてあった本。
 ひと昔前のビジネスホテルには聖書とか仏典が置いてあったけど、ご当地本を置いてあるのはいいですね。
 奥付を見ると1974年に出版された本で、昭和30~40年代までの秋田の食生活を紹介しています。田沢湖ではお化け鯉(体長1.4mもある)が獲れたけど、水質汚染で湖水が酸性化して魚が死滅してしまったとか、野草の食べ方などなど。
 特に熊は、肉はもちろん背骨から血液まで、文字通り全身クマなく食べたとか。熊の血液や生殖器は精力剤として扱われたそうだけど、「食物連鎖の頂点にいる熊=強い生き物」の血を飲むことで、強さを取り入りれようという信仰に近いものも感じました。山間部は冬の食材が乏しかったという事情もあるのでしょうけど、現代では絶対食べないもの(寄生虫)を美味しく食べる方法なんか読むと、人間も動物も食べることは生きることと文字通りイコールだったのだなあと思う。

 こういうご当地本は、旅先でアンテナが柔らかくなっている時こそ読めると思うので、本をゆっくり読める宿ってポイント高いですね。部屋がゆったりしていて、できればお茶やお酒が楽しめるライブラリーがあれば言うことなし。○○リゾートのような洗練された高級志向とも違う、素朴だけどこまやかな心遣いが感じられるのが私の理想の宿です。